松之木学園♥生徒会執行部
「絶対にヤメてよ。菜々」
「そうだよ。さすがに全国ニュースに載るのは困るから」
「僕、嫌だからね?同じ生徒会のメンバーとして一言!ってインタビューなんか受けたくないし」
「そうですよ。仕返しをするならもっと別の、違う方法を一緒に考えましょう」
全員が一丸となって私を取り囲み真顔で諭してくる。ニュース沙汰になるようなことだけはヤメようって。ただの冗談なのに。
嘘だと理解しているのは議事録を書いている小春とピーコだけ。いや、笑顔で頷いているってことはツンキーを成敗することに賛成しているのかも知れない。
「もう。本気ではしませんよ」
「絶対だぞ」
「念を押さなくたって絶対にしません」
「お前は本気でしそうで怖い」
「いったい私にどんなイメージを持っているんですか」
しかと言質まで取ってくる澤田君に苦々しい笑みを向ける。確かにツンキーに対しては腹が立っているけど、さすがに物事の善悪くらいはちゃんとつく。そこまで真剣に心配をされるのも複雑だ。危険人物だと思われているみたいで。
「まぁ、腹が立つのは分かるけどね〜。思っていたより処分が甘かったし」
「そうだね。せめて3週間は反省して欲しかった」
「1週間って。校長も甘いと言うか」
「あの人は結構甘いところがあるから」
「勉強に関しては厳しいのにね〜」
皆、思い出したようにツンキーの処遇について呟く。
あの後、校長から言い渡されたツンキーへの罰は『停学一週間』だった。校長室から鍵を盗み、ピーコを連れ去って飼育小屋に閉じ込めるという大罪を犯したわりには処罰が甘い。
自分にも非があっただけに責めきれなかったのかも知れないが、やられたこちら側としては不服。これじゃまた懲りずに同じことをやりそうだし。
そうなったら次こそ澤田君がキレそうで心配だ。あの日、去っていくツンキーを見る彼の目だってかなり怖かったから。言わないだけで溜まっているものが結構あるんじゃないかと思う。
まぁ、言ってる間に夏休みも挟むし、お互いクールダウンしてくれればいいんだけど。こればっかりはツンキーの気まぐれによる。