松之木学園♥生徒会執行部
「平和もこれにて終了ですね」
「明けたらまた何か仕掛けてくるかな?」
「諦めが悪そうだからね。来ると思う」
“コンコンコン”とペンで机を叩きながら考え込んでいた私の向かいで雄大と颯と理央がツンキーの登場予告をする。
明けて直ぐに突撃してくるやら、やることがエスカレートしそうやら、出てくる予想は結構暗めのものだ。平和に過ごしたい皆としては出来れば来ないで欲しいというのが本音だろう。
「それにしても澤田君にかなり執着してるよね」
「確かに。以前から確執があるような発言が多々ありましたね」
「何か心当たりはないの?」
疑問で溢れ返った颯が問うような視線を澤田君に投げる。尋ねられた澤田君は記憶を辿るように俯いて考え込む。しかし、少しすると小さく息を吐いて「分かんねぇな」と呟いた。全く心当たりはないらしい。
「あの頭には見覚えがある気がするんだけど」
「確かにあの髪型は一度見ると印象に残りますしね」
「しかし、どういう繋がりがあってその時にあいつと何をやったかは覚えてねぇんだよ」
「全く?」
「全然。基本的に絡んでくると言えばあんなやつらばかりだから。記憶がごちゃ混ぜになって曖昧」
『はぁー』と溜め息を吐き、澤田君は背もたれにするように私の肩に寄りかかってきた。様子を窺うように顔を覗けば、瞼を伏せてかなりお疲れな様子。
表情も暗い。まぁ、あんな人ばかりにあれだけ振り回さればそうなってしまうのも無理はないけど。
しかし、羽交い絞めにされて以来、距離感がバグったのかこういうスキンシップが多くなった。女として全く見られていないのか、距離を縮めたくてやっているのか、それとも心のピースが嵌まってしまったのか、いったい正解はどれだろう?
私も私で謎。こうやってベタベタ来られても全く悪い気はしないんだから。不思議だ。
「とりあえず挑発されてもブチギレないようにだけお願いします」
「そうだね~。向こうの思惑通りに動くのも癪だし」
「頼むよ。こちらも出来るだけフォローは入れさせて貰うから」
今後起こり得るであろう事態に備え、颯と雄大と理央の男子コンビが澤田君へお願いをする。
殴り返して停学、留年、退学なんて流れになったら嫌だし。そこは仲間としてしっかりと澤田君に言い聞かせた。皆、校長との約束以前に澤田君を仲間として失いたくないと思ってきてるから。