松之木学園♥生徒会執行部


 「珍しいなー。何をしにココへ寄ったんだよ?」

 「えー?お兄ちゃんに意地悪する人が居るって言ってたから。見てみようと思って」

 「あぁ、それでか」

 「見つけたら一言、文句を言ってやるの」


 えいっ!なんて空手の型を綺麗に決める香織ちゃん。聞けば長年空手をやっていて強いらしい。だからこそ、澤田君に嫌がらせをするツンキーに一言文句を言おうと訪れたそうだ。

 等の犯人はその様子をダラダラと冷や汗を流しながら見つめている。思わず笑顔になってしまったが悪意はない。笑いが止まらないだけ。


 「それで⁉その人はドコに居るの?」

 「ドコって……」


 澤田君がチラリとツンキーに視線を送る。犯行をバラされそうになったツンキーは強張った顔で喉をゴクリと鳴らした。不思議そうにツンキーを見つめる香織ちゃん。


 「あ…、そいつならアッチに行ったよ!香織ちゃんつ」

 「アッチ?校舎の中?」

 「そう!多分、教室の方に行ったんじゃないかなぁ?」

 「どんな人?」

 「いつも誰にでもツンケンしているツンツン男」

 「なるほど。それでツンキー?」

 「そう!」


 上手く言い訳を考えたものだ。ツンキーは物凄く焦った顔を浮かべながら、しどろもどろ嘘を言って校舎を指差す。香織ちゃんは信じきった顔でマジマジと校舎を見つめてる。

 しかし、そうじゃない。ツンキーはその静電気ヘアーが由来だ。そう思ったが、あえて全員が黙っていた。憐れなツンキーは嘘を言ってこのピンチを切り抜けるつもりらしい。

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