松之木学園♥生徒会執行部


 「澤田キュン。助けてくれてありがキュン。イケメンに見えます!」
 
 「いや、今はそういうのいいから」

 「……はい」

 「それより、なんで閉じ込められてんの?」

 「さぁ……。私もよく分からないです。いきなり閉められたんで」


 真面目に答えた私に澤田君は短く「そっか」と呟いた。視線を逸らして、溜め息を吐いて、不満そうに頭をクシャクシャ。機嫌が悪そう。かなり怒っている。何だか気まずい。


 「あー⁉もう開けちまったのかよ」


 なのに空気の読めないバカが廊下の隅からひょっこりと顔を出す。

 このツンツン頭が。奥に引っ込んでろ!と親指を下げたいのを我慢して、目の前に現れたツンキーを真顔で見つめる。


 無言の圧。真顔のテレパシー。今すぐ逃げろのサイン。しかし、鈍感なツンキーは空気を読まずに澤田君にちょっかいを出し始める。



 「うぃ〜!閉じ込められパート2」

 「またお前かよ」

 「そうだ。あのまま終わる俺じゃない」


 お願いだから、ちょっと黙ってろ。


 そう思う私の気持ちを無視してツンキーは意気揚々とこちらに近付いてくる。準備室の鍵をクルクルと指で回しながら、楽しそうにニヤニヤと笑って。



 「お前か、犯人は」

 「そうだ。俺以外に誰がいる」

 「しつけぇんだけど」

 「俺からしてみればしつけぇのはお前だ」


 全日本うぜぇヤツランキングがあれば堂々の1位に輝けるくらい鬱陶しい面構えで、ツンキーは澤田君の肩を掴む。


 おいおい、ヤメておけ!って顔が強ばったが、私のことなんて完全に無視。存在すら忘れられている。

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