松之木学園♥生徒会執行部

 
 「……うぜぇ」

 ツンキーに絡まれた澤田君はガンッと物騒な音を立てて壁を叩く。怒りを発散させるように。

 やばい……。かなり苛ついている。ピンチだ。


 「澤田君」

 「マジで腹立つ」

 「澤田君ってば」


 上手い言葉が出てこず、とにかく名前を連呼。さすがの私もふざけられないくらいの怒りようだ。



 怒っている理由が自分なだけに頭が回らない。どうしてそこまで怒っているのか謎。


 そりゃ閉じ込められはしたけど、直ぐに出て来れたし、何もそこまで怒らなくても。そうは思ったが、止めたって意味は無く。澤田君はツンキーを殴ってしまった。


 左の頬に一発、お腹に一発、蹴り二発。ガッ、ゴッ、なんて鈍い音を立ててツンキーを殴る澤田君。


 「うわぁ……」


 軽くドン引き。ツンキーも殴り返そうとするが、追い付かずに殴り返されている。散々、煽っておいて一発も返せないとは何事か。



 「澤田君、ちょっと落ち着いて」

 「うるせぇ!」



 一応、止めたが無駄だった。澤田君は止まらない。

 まぁ、そうなるのも仕方ないか。今まで散々、嫌がらせをされてきた訳だし。それは理解出来ているが、フルボッコにしていて焦る。


 「おい!お前らヤメんか!!」


 しかもタイミング悪くゴリ山に見つかってしまった。

 来るのが遅い!それならさっき来て欲しかった。そしたらピンチを救ってくれた王子様だったのに。


 今はただの厄介な目撃者だ。これから訪れる波乱の予感をヒシヒシと感じながら、私はツンキーを引き離すゴリ山の背中を焦る気持ちで見つめた。
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