松之木学園♥生徒会執行部
「あぁ、大地の息吹。自然の源よ!」
開けばちょっとだけ涼しい風。中の熱気と外の空気が入れ替わる。
サウナ状態から解放され、堪らず感嘆の声をあげた私。そよそよと風が吹く中、生き返った気分になりながら涼む。
外を見れば部活を終えた生徒が門に向かって歩いていて、その中に澤田君の姿もあった。やったー、ラッキーと顔がニンマリ。窓の下。歩く澤田君に上から声を掛ける。
「澤田君!」
「あぁ、まだそこに居たのか」
「うん!片付けてたら鍵が閉まっちゃって」
「は?鍵?」
「そう。絶賛、閉じ込められ中です」
だから開けて欲しい胸を伝えたら、澤田君は「待ってろ」と言って校舎の中に戻っていった。
良かったー。助かる。これで都市伝説にも七不思議にもならなくて済む。思っていた以上に早く抜け出せてラッキーだった。安堵の溜息。
「菜々」
程なくして準備室の扉の前に澤田君が来た。ただ来たのはいいが、扉を蹴り飛ばしているような、けたたましい音が廊下から響く。
「おいおい、澤田君。いったい何をやっているのかね?」
「鍵がねぇんだよ」
「まさか壊す気ですか?」
「そっちの方が早い」
そりゃそうかも知れないけど!校長の泣き顔と先生の説教顔が一瞬にして頭の中に浮かぶ。
しかし、澤田君はそのまま扉を蹴って鍵を壊してしまった。扉が開き、神妙な面持ちをした澤田君と目が合う。