松之木学園♥生徒会執行部
そっちも時間的に澤田君が私に気づくよりも少し前だ。あの時、澤田君の近くを歩いていた部活帰りの生徒達の顧問だから間違いない。
ちょうど解散して職員室に戻って直ぐだったし、その人たちが着替えたりする時間を換算すると、鍵を取りに行った生徒の方が私が騒ぐより先に閉じ込められていることを知っていたのは確実。
誰かが廊下を通らないかと注意を払っていたけど、誰一人来なかったもの。つまり閉じ込められたことに気づいたのは閉めた直後。
むしろ閉めた犯人でしかない。それで鍵自体はツンキーが持っていたから……、やっぱり閉めた犯人はツンキーに違いないって話にいきつく。
「生徒会新聞の取材か?」
「はい。そうです」
話し終わって尋ねてきた先生に笑顔で答える。広報の慶彦は生徒会新聞を作るため、時々こうやってビデオカメラを持って取材をしている。メモを取るよりも確実だからと。
だからビデオに撮られているとはいえ、皆あまり違和感を感じていない。ツンキーも近くを通ったけどスルーだったし、道行く生徒もチラリと見るだけで何もツッコまない。あぁ、いつもの生徒会新聞のやつか。って顔をしている。
実のところ、これは証拠の動画作りだ。目撃情報があったと証言するために撮っている。
私たちが目指すところはツンキーの自白だから、あまり意味はないのかも知れないけど、念の為。証拠としては薄いが使わせて貰おうと思う。