松之木学園♥生徒会執行部
「武将じゃありません。くノ一ですぞ。澤田氏」
「おー、忍者が俺に何の用だ?」
「お昼ご飯をご一緒しようと思ってお弁当を持って来ました」
「アホか。見つかったらマズイだろ」
お弁当箱の包みを見せびらかした私に澤田君は驚いた顔を見せる。そんな澤田君に仁王立ちでニンマリと自信満々な笑みを返した。手紙を届け終わったピーコ が外に放たれ、パタパタと私の元に戻ってくる。
「大丈夫です。誰か来たら用務員のオジサマが草刈り機を発動させて教えてくれます」
「まさか買収したのかよ」
「ふふふ。地方限定、三種の珍味で落ちました」
「ほんと悪知恵だけは働くなぁ……」
感心したように笑う澤田君にニンマリと笑い返す。
正直に言えば買収なんてしなくても用務員のオジサマは澤田君の件に関しては協力的だ。事情を言えば歯をキラーンと輝かせて「任せろ」と言ってくれた。
使ってる草刈り機の音は爆音だし、起動させたら直ぐに気づく。ついでに声も消せる特典付き。
すっかり恋のキューピッドなったつもりでオジサマはウキウキしてる。澤田君に言ったら照れそうだから今は黙っておくけども。
「まぁ、いいじゃないですか。お昼くらい」
「どうやって一緒に食べるんだよ」
「ロミオとジュリエット方式で」
「ロープで上ってくんの?」
「いえ。そこまで体力は無いんで遠隔的なランチでいきましょう」
「つまり窓越しな」
さすがに付き合いも少し経つとちゃんと意図が分かるようになってくるらしい。
澤田君は小さく鼻で笑うと、お弁当を広げる私に付き合って窓から少しだけ半身を乗り出した。
傍から見れば変な光景。だけど、2人とピーコしか居ないし、気にしない。