初な彼女と絆される僕
そんな中。
葛原だけは、勇剛と李依の交際を受け入れられずにいた。
「――――課長、残業ですか?」
李依が仕事終わり、勇剛と一緒に帰ろうと声をかけに向かうと、勇剛はまだ書類を抱えて作業中だった。
「あぁ……
そうなんだ。
だから今日は、デートできないよ…
ごめんね…」
見上げて、李依の頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ、せめてお手伝いを!」
「ううん!
気持ちだけいただくよ!
ほとんど、僕が目を通さなきゃならない物ばかりでね…
でも、ありがとう!」
「そう…ですか。
わかりました!
じゃあ、今日はお先に失礼しますね!」
「うん、お疲れ様!
あ、気を付けて帰るんだよ?」
「はい!」と返事をして、小さく手を振り去っていく李依を愛おしく見つめて、勇剛は作業を再開した。
しばらく一人で集中して作業していると、ガチャ…とドアが開く音がした。
「――――お疲れ様!」
葛原が、ビニール袋を片手に現れた。
「ん?葛原?
お疲れ」
「差し入れ、持ってきたわ。
休憩したら?」
「ありがとう。
でも、気持ちだけ貰っておくよ。
早く終わらせたいからね」
「………」
「何?」
「…………山西くん、変わったよね」
「は?」
「そんな、クールな人じゃなかった」
「………」
「中畠さんと付き合って、変わったわ!」
「――――――君は、僕の何を知ってるの?」
あくまでも穏やかだが、淡々と答えていた勇剛。
鋭く葛原を見上げた。
「え?」
「君とは“同期”って以外、特別なことは何もないよ」
「………」
「友人って関係ではない。
ましてや、恋人でもない。
それ以前に、プライベートで会ったこともない。
なのに“変わった”ってどうして言えるの?」
「………」
勇剛の言葉に、葛原は何も言えなくなってしまう。
「わかったら、帰ってくれないかな?
仕事とはいえ、李依以外の女性と二人でいたなんて知られたら、李依を傷つける。
それだけは、避けたいからね」
淡々と言って、書類に目を向けた勇剛。
葛原は、そのままタタタッと逃げるように去っていった。
勇剛は作業をしながら、フッ…と小さく噴き出した。
そして呟いた。
「………変わってなんかない。
ずっと僕は、変わらない。
クールだよ…昔から。
ただ、みんなが勘違いしてるだけ」
勇剛は物腰柔らかな性格だ。
基本的に冷静で、どんなに怒っていても声を荒らげることがない。
しかし勇剛は他人との関わりに、いつも一線を置いている。
自分が、心から信頼できる人間にしか踏み込ませない。
ただ勇剛の物腰の柔らかさに、周りが“素敵な紳士”と決めつけているだけなのだ。
葛原だけは、勇剛と李依の交際を受け入れられずにいた。
「――――課長、残業ですか?」
李依が仕事終わり、勇剛と一緒に帰ろうと声をかけに向かうと、勇剛はまだ書類を抱えて作業中だった。
「あぁ……
そうなんだ。
だから今日は、デートできないよ…
ごめんね…」
見上げて、李依の頭をポンポンと撫でる。
「じゃあ、せめてお手伝いを!」
「ううん!
気持ちだけいただくよ!
ほとんど、僕が目を通さなきゃならない物ばかりでね…
でも、ありがとう!」
「そう…ですか。
わかりました!
じゃあ、今日はお先に失礼しますね!」
「うん、お疲れ様!
あ、気を付けて帰るんだよ?」
「はい!」と返事をして、小さく手を振り去っていく李依を愛おしく見つめて、勇剛は作業を再開した。
しばらく一人で集中して作業していると、ガチャ…とドアが開く音がした。
「――――お疲れ様!」
葛原が、ビニール袋を片手に現れた。
「ん?葛原?
お疲れ」
「差し入れ、持ってきたわ。
休憩したら?」
「ありがとう。
でも、気持ちだけ貰っておくよ。
早く終わらせたいからね」
「………」
「何?」
「…………山西くん、変わったよね」
「は?」
「そんな、クールな人じゃなかった」
「………」
「中畠さんと付き合って、変わったわ!」
「――――――君は、僕の何を知ってるの?」
あくまでも穏やかだが、淡々と答えていた勇剛。
鋭く葛原を見上げた。
「え?」
「君とは“同期”って以外、特別なことは何もないよ」
「………」
「友人って関係ではない。
ましてや、恋人でもない。
それ以前に、プライベートで会ったこともない。
なのに“変わった”ってどうして言えるの?」
「………」
勇剛の言葉に、葛原は何も言えなくなってしまう。
「わかったら、帰ってくれないかな?
仕事とはいえ、李依以外の女性と二人でいたなんて知られたら、李依を傷つける。
それだけは、避けたいからね」
淡々と言って、書類に目を向けた勇剛。
葛原は、そのままタタタッと逃げるように去っていった。
勇剛は作業をしながら、フッ…と小さく噴き出した。
そして呟いた。
「………変わってなんかない。
ずっと僕は、変わらない。
クールだよ…昔から。
ただ、みんなが勘違いしてるだけ」
勇剛は物腰柔らかな性格だ。
基本的に冷静で、どんなに怒っていても声を荒らげることがない。
しかし勇剛は他人との関わりに、いつも一線を置いている。
自分が、心から信頼できる人間にしか踏み込ませない。
ただ勇剛の物腰の柔らかさに、周りが“素敵な紳士”と決めつけているだけなのだ。