初な彼女と絆される僕
“それに!
例え、明日出来なくても…
山西さんは、李依を嫌いになったりしない。
そんなことで嫌いになる人なら、むしろ別れな!!”


最後に裕弓にそう言われ、李依は金曜日を迎えた。

仕事中から緊張で、なんとなく集中できない。
でもなんとか仕事を終わらせ、勇剛と会社を出た李依。

「とりあえず、食事しようか!」

「あ、は、はい!」

(あ、そうだよね(笑)
すぐにスるわけじゃないよね…(笑))
変に意識しまっている自分に、心の中で笑った。

「………」
そんな李依を、勇剛はただ見ていた。



「―――――より?李依!」
「…っ…は、はい!!」

カップル席に座っている二人。
隣に座る勇剛が、顔を覗き込んでいた。

「どうする?」

「へ?」
緊張で、全く勇剛の話が入ってきてない李依。
何のことかわからない。

「はぁ…僕の話、聞いてた?」

「す、すみません!
聞いてませんでした!」
ペコペコ謝る。

「………」

「すみません!」
(ど、どうしよう…呆れて、る?)

「やめようか?」

「え……」

「泊まりだよ。
いつものようにデートしよ?」
勇剛の表情が、とても切なく苦しそうだ。

「………」
(違う!!
そんな表情(かお)をさせたいんじゃない!)

「ね?
そんな急ぐことでもないし。
きっと“自然に”そうなる時がくる。
僕達は、セックスをするために付き合ってるんじゃない。
好きで、一緒にいたくて交際してるんだから。
ただ僕が好きすぎて、二人っきりになると触れたくなるだけ。
僕が我慢すれば―――――――」

「………」
(違う!違うんです!)

「李依?
え?え?どうして、泣くの?」

「……………ごめ…な、さい……」

「ううん!いいんだよ?
李依のペースでいこうよ!
大丈夫。
僕はそんなことで嫌いにならない。
李依がいてくれればそれで―――――」

「違うんです!!」

「え?」

「本当に、ただ…緊張してるだけです!!
嫌だなんてあり得ません!
私も、勇剛さんと触れ合いたいです!」

「李依…」



裕弓が話していた、もう一つの事がある―――――

『――――――李依、山西さんと手を繋いでる時、どんな感じ?』

『え?
うーん…幸せだよ!』

『でしょ?
そこに、上手くしようみたいなこと、ないでしょ?』

『うん、確かに!』

『ね?
あと、キスは?』

『え?//////』

『上手くしようとか、考えてる?』

『ううん。
そんなこと考える余裕は………あ!』

『ね?ないでしょ?
もちろん緊張はするだろうけど、ただ…幸せって思ってるだけじゃない?』
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