初な彼女と絆される僕
「坊ちゃま…」

「あいつは……中畠は“まだ”課長を想ってます!!
ただ…一度信じられなくて自分から別れを告げたのに、舞い戻るのは勝手だからって、言えずにいるだけ。
中畠はここに入社した時にから、課長“だけを”見てます!!
俺なんか入る隙、ないくらいに……!!」

「李依…」

「課長の過去に何があったか知らない。
でも……例え、過ちを犯してても、あんたは今、中畠を大切に溺愛してたでしょ!?
それが一番、大切なことなんじゃないんすか!?
中畠と向き合ってやってくださいよ!?
俺じゃ…何の支えにもなんないんだから……!」

胸ぐらを掴んでいた永輔の手が、力なく落ちる。
項垂れた永輔の肩をポンポンと叩くと、勇剛が「そうだよね。ありがとう!」と言って、駆け出し会社を出ていった。



その足で、糸岩の所に向かった勇剛。

「―――――何?
養育費、払ってくれる気になった?」

「本当のことを聞かせろ」

「は?」

「春美の娘さんは“カドタの娘”だろ?」

「…………え……」

「最初から、知ってた」

「何、言ってるの!?
あの時、避妊なんかしなかったじゃん!
私ちょうど、排卵日だったの!」

「だとしても、僕じゃない。
………というより、お前はカドタの女だったんだろ?
僕はただの、君の外面だけの彼氏」

「知っ…て、た…の?」

「あぁ。
でも別に、それでも何の不満もなかった。
僕自身も、君は居心地の良い女性だったからね。
君に本命の彼氏がいたこと、知ってた。
でも、カドタと君じゃ…容姿の差があった。
カドタは、決して整った顔じゃなかったから。
それに、僕とホテルに行く前日、産婦人科に行ってるのを見かけたんだ。
だから“あぁ…カドタの子を妊娠したんだ。もう…潮時だ”って思ったのを覚えてるから」

「………」

「春美」

「え?」

「高校の時、君が僕を都合よく扱ったこと。
今回僕を利用して、金を払わせようとしたこと。
それは、別に構わない。
でも……
僕の大切な人を傷つけたことは、絶対に許さない」

「勇剛…」



「明日、僕と一緒に来てほしいところがある―――――――」
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