クールな御曹司は強気な彼女を逃さない

純平を見ると、打ち合わせしてないのにバッチリ私の服と被っていた。

グレーのニットに、黒のパンツ。黒の上質なレザージャケットを羽織って、黒のスニーカー、キャップをかぶっていた。
たぶん全部すんごい高いやつ。

「ふふふ。純平、服かぶったね」


「だな。」

自然に荷物を持っていない方の手が、私の手を繋ぐ。

「なんか、いつもなんとなくテイスト似てるよね?」


「そうか?麗、かわいいな」


急に甘いモードの純平に思わず息を飲む。


「ちょ、やめてこんな所で!!」


マンションのエントランスを仲良く歩く。
すれ違った、住人の男性に軽く会釈する。
振り返って顔を赤くしていることなど気にせずに。

それを、純平が振り返って一喝してたとも知らずに。

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