クールな御曹司は強気な彼女を逃さない


東京の朝は早い。
もう人がこんなにいる。
チラチラと私を見る人には目もくれず、スタスタと宿泊先のホテルへ戻り、シャワー室に入った。
このホテルが近くて良かった。


「えっっっ⁈何これっっ!」


鏡に映った自分の身体を見て絶句した。

「な、なんて事してくれてんのよ!」
思わず叫んだ。

そこには、彼に抱かれている間につけられただろう赤い花弁が、これでもかというほど身体中に散らされている私の身体が映っていた。

もしかして、だからチラチラ見られてたの?

急に恥ずかしくなって顔に手をやる。


"こいつは俺のだ"
と言わんばかりに。


「あいつ、、、。見えるところに付けやがって。
これじゃ、嫌でも忘れられないじゃない」

怒っているのに、口元は何故か笑っていた。
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