清くて正しい社内恋愛のすすめ
 この地域は“東雲”のホテルとスパ施設があることもあり、観光客が多く行き来している。

 そのため大通りだけでなく、狭い路地を入った裏通りにも、土産物屋やアンテナショップが多数建ち並んでいた。

 穂乃莉と加賀見はその中を、ぶらぶらと散策するように歩く。


 ――なんだかデートみたいでドキドキする。


 穂乃莉がそんな事を思っていると、突然目の前に大きなオレンジ色の物体が飛び出してきた。


「きゃ」

 穂乃莉は思わず小さく叫び声を上げ、加賀見の腕にぎゅっとしがみつく。

「素敵なお二人さん。ぜひこちらを、飲んでみて欲しいにゃん♡」

「……にゃん?」

 見るとその大きな物体は、果物の枇杷(びわ)の形をしたゆるキャラのようだ。

 そう言えばこの地域の特産品に“枇杷”があったことを思い出す。


「ぼくは“びわにゃん”にゃん」

「びわ……にゃん?」

 “びわにゃん”は、その名の通り果物の枇杷の形をしていて、淡いオレンジ色の楕円形の頭には緑の葉っぱがついているが、なぜか耳としっぽ付きだ。
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