清くて正しい社内恋愛のすすめ
 自己紹介をすませた“びわにゃん”は、穂乃莉と加賀見の前に試飲用のコップを差し出した。

 中にはオレンジ色のジュースが入っている。

「枇杷ジュースのサイダー割りにゃん」

 “枇杷”と“猫”にどう関係があるのかは不明だが、“びわにゃん”の勧めで穂乃莉は加賀見と一緒にコップに口をつける。

 その瞬間、思わず「美味しい!」と声を揃えてしまった。

 “びわにゃん”はその声を聞くと「買って買って~」と、キャラを忘れたようにぴょんぴょんと飛び跳ねて、すぐに次のターゲットを見つけて移動して行った。


 穂乃莉と加賀見はしばらく呆気に取られていたが、顔を見合わせるとぷっと吹き出す。

「何なんだ、あいつは……」

 加賀見が呆れたような顔で言い、くすくすと笑っていた穂乃莉は「あっ」と声を出すと加賀見を振り返った。


「ねぇ、このお店でみんなのお土産買って行かない?」

 出張に出た時には、毎回その土地のものをお土産に買っていたが、たいていは空港や駅のショップで買っていた。

 でも今日は、せっかくだから“びわにゃん”のお店で買いたい。
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