清くて正しい社内恋愛のすすめ
 そして画面をいくつかタップしながら、「これは、大変申し訳ない」と大きな声を出した。

「どうかされましたか?」

 穂乃莉は不安になって首を傾げた。

 まだプランの説明は半分もできていない。

 ここで中断されてしまっては、今日ここに来た意味がなくなってしまう。


「いやいや、一つどうしても、今日中にやらなければならない仕事が残っていたのを失念しておりましてな。よろしければプランのお話は、執務室で伺っても?」

 支配人は穂乃莉の顔を伺うように見ている。

 穂乃莉はまだ続きを説明できることに少しだけほっとすると、大きくうなずいた。

「もちろん大丈夫です」

 穂乃莉の返事を聞くと、支配人は満足そうに口元を引き上げる。

「では移動しましょうか」

 穂乃莉は支配人について、レストランを後にした。


 支配人は一旦フロントのスタッフに声をかけると、フロントの脇をぬけ、メインのエレベーターに乗る。

 そしてホテルの最上階のボタンを押した。
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