清くて正しい社内恋愛のすすめ
 相田の言葉に、その場にいたみんながバッと視線を相田に集中させると、思わず声をだす。

 穂乃莉も小さく息をのみながら加賀見を振り返ると、加賀見もやはり驚いたような顔をしていた。


 東雲グループということは、つまりは“東雲リゾートホテル”の親会社であり本社にあたる。

 その社長がわざわざこちらまで足を運ぶということは、支配人の件が絡んでいるに違いないことは容易に想像できるが……。


 ――でも、何のために……?


 穂乃莉たちは結局、あの出来事を東雲の本社へは訴えていない。

 それなのに、社長自らこちらまで来るということは……。


 ――支配人が保身のために、何か手を打った? それとも、まさか内部で告発があった……?


 一瞬の間に、頭の中をぐるぐると考えが巡る。

 穂乃莉は動揺を隠せないまま、チラッと加賀見に目線を投げた。

 加賀見は穂乃莉の不安を感じ取ったのか、すぐに相田に向きなおる。

「東雲の社長は、どんな理由でこちらに来るんですか?」
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