清くて正しい社内恋愛のすすめ
「あの……」

 花音が遠慮がちに手を上げる。

「曇りや雨で、星が見えない日はどうするんですか?」

「そこはプロジェクションマッピングで対応したいと思ってる。それこそプラネタリウムみたいに……」

 加賀見がそこまで言うと、相田が声を出した。


「温泉街の客を一気に集められるほど、その中庭ってのは大きいのか?」

 加賀見は眉を引き上げながらクリアファイルを取り出すと、ホワイトボードに大きく印刷した写真を数枚貼り付けていった。

 それはつい昨日、穂乃莉が見た本店の中庭の写真だ。


「写真を見てもわかるように、中庭といってもかなりの広さがあります。ただ、ここに座席を配置して、ゆっくりと星空を眺められるようにしたいので、混雑時を想定して内容は30分程度で交代制にした方が良いかも知れません」

 みんなは立ち上がって中庭の写真を覗き込む。

「これだけスペースがあれば、確かにプラネタリウムにできるよね」

「お庭が素敵だし、外で星空を眺めてる気分になりますぅ」

 花音とうなずき合っていた玲子が、「でもさ……」と加賀見を振り返った。
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