清くて正しい社内恋愛のすすめ
「これだけ大掛かりになると、結構準備に時間がかかりそうだけど……。いつぐらいからツアー開始を予定してるの?」

「本音を言えば、今日にでも始めたいくらいです」

 加賀見の言葉に、玲子が叫び声を上げながらのけぞった。


「は!? ちょっと待ってよ! 久留島社長の体調が戻って、十分に話し合いしてからの方が良いんじゃない? 急いでも良いものは作れないよ。そもそも、本店の中庭の改修って許可取ってるの?」

 玲子の話を聞きながら、穂乃莉は下を向く。

 確かに玲子の言う通りだ。

 中庭の改修に加え、ツアーの内容も一から詰めるとなると、相当な時間がかかるだろう。


 ――でも……私には時間がない……。


 きっと東雲は、久留島を追い詰めるために開発を急ぐはず。

 そして穂乃莉の退職も、今月末と、もう目前に迫ってきている。


 みんなには、東雲から開発阻止の条件として、穂乃莉を人質のように要求されていることは話していない。

 まさか東雲が、個人的な感情でこの開発を進めようとしているなんて知れれば、社内は一気に大混乱に陥るからだ。
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