清くて正しい社内恋愛のすすめ
 淡いラベンダー色にパープルの小花柄が可愛らしいワンピースは、胸元で揺れるリボンが印象的なデザインだ。


 ――変じゃないかな……?


 穂乃莉が心配になってうつむいていると、加賀見はそっと穂乃莉の腰に手を回す。

 そして耳元で「嬉しいな。可愛いよ」とささやいた。


「きゃ」

 加賀見の発言のあまりの恥ずかしさに、穂乃莉は思わず飛び上がりそうになる。

 そうだ。加賀見はこういうことをサラッと言えてしまえるタイプなんだ。

 頬を真っ赤にする穂乃莉に、加賀見はにんまりと口元を引き上げると、「じゃあ行こうか」と穂乃莉の手を取って歩き出した。


 加賀見と手を繋いで歩きながら、穂乃莉はそっと加賀見の姿を見上げる。

 今日は加賀見も、いつものスーツ姿とは打って変わって、カジュアルな装いだ。

 薄手のシンプルなライトブルーのシャツに、ネイビーのパンツ。


 ――でもなんだろう。めちゃくちゃ、カッコイイんだけど……。


 思わず穂乃莉はポーっとなりかけて、慌ててぷるぷると首を振った。
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