清くて正しい社内恋愛のすすめ
「あれ? そうだったにゃん?」

「お前……完全に設定忘れてるだろ。まさか、あの“さくら貝”の話もデタラメだったんじゃ……」

 怒り心頭の様子の加賀見に、びわにゃんは慌てた様子で飛び跳ねると、両手を大袈裟に振る。

「そんなことないにゃん。 “さくら貝”の言い伝えは本当にゃん!」

 穂乃莉はぎゃあぎゃあ言い合う二人の間に入ると、くすくすと笑い声をあげた。


「あのね、びわにゃん。実は、私たち結婚することになったの。びわにゃんと、このチャームのおかげだよ」

 穂乃莉の声に、バタバタとしていたびわにゃんの動きがぴたりと止まる。

 そして小さく「えぇぇ……ショック……」という声が聞こえてきた。


「お前なぁ。言っとくけど、心の声漏れてるからな」

 加賀見がキッと睨みつけ、びわにゃんが「ひっ」と飛び上がった所で、びわにゃんは観光課の職員の男性たちに連行されていく。

 ぺこぺこと平謝りしながら退散する職員の人たちを横目に、びわにゃんは引きずられながらも、いつまでも大きく手を振っていた。


「お幸せに~ですにゃん~」

 二人を繋いでくれたキューピットのびわにゃんに祝福され、穂乃莉と加賀見は顔を見合わせるとぷっと吹き出す。

「まったく。相変わらず何なんだ、あいつは……」

「でも偶然だけど、お礼が言えてよかったね」

「まぁ、そういうことにしとくか」

 二人はいつまでも、くすくすと肩を寄せて笑い合った。
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