清くて正しい社内恋愛のすすめ
 ――本当のことだもん。むしろ、連絡すらなかったし……。


 この休み中、実家に帰っている間も、どこかで加賀見から連絡が入るのではと、期待して待っていたのは事実。

 それでも一向に加賀見からの連絡が来ることはなかったし、穂乃莉自身も躊躇(ためら)っているうちに今日になってしまったのだ。

 なんとなく、みんなに八つ当たりしてしまった気持ちになり、心の中で少し反省する。

 穂乃莉は気持ちを切り替えるようにパソコンの電源を入れると、黙々とたまったメールの返信を始めた。


 毎年のことだが、旅行代理店という職業柄、年明け早々から国内ツアーチームもフル回転で動き出している。

 このお正月休み中にもツアーは多数慣行されており、休みボケなんて言葉が通用しない程、穂乃莉も業務に忙殺されて午前中を過ごした。


 どうも加賀見は、新年早々取引先に直行していたようで、フロアに姿を見せたのはお昼も過ぎた辺りだった。

「あっ。加賀見さん帰って来ましたよ♡」

 花音が耳元で囁き、穂乃莉はドキッとして顔を上げる。
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