添い寝だけのはずでしたが
「疑って、ごめんね……」


「まあ、それはどうでもいい。結果的に、お前の気持ちが聞けたから」


 明日一緒にいて欲しいって言ったんだった。


 思い返せば、本当に恥ずかしい。


「それって、俺のことが……」


「あ、それは断じてありません。完全なる誤解です」


「こういうときの敬語ってなんかキツいな。ま、お前がそう言うならそれでもいいか……」


 クスッと笑うと、葵さまはひとりで納得している。


 出会った時ほど葵さまに苦手意識はない……むしろ、それはとてもいい方向へと傾いている。


 だけど近付き過ぎるのもなんだか怖い。


 ずっと一緒に過ごしているし、親近感がわくのは当然のことで。


この心のどこかに生まれた温かい感情は、一時の気まぐれかもしれない。


 それはお互いに……。


 葵さまの反応が、以前とは別物っていえるほど良くなっていることも分かっている。


 それはメイドへの情なのか、友情なのか、それとも……。


 その実態も、まだハッキリと分からずにいる。






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