添い寝だけのはずでしたが
「怖かった……」


「だろうな、遅くなって悪かった」


 葵さまが悪いわけではないのに、背中をさすって労わってくれる。


本当に心配をかけてしまったんだ……。


「ううん、来てくれて本当に嬉しい……すごく葵さまに会いたかったの……」


「俺もだ」


 もう一度抱きしめられて、やっと我に返る。


 私たち……抱き合ってるよね。


物凄く安心するし、このまま離れたくないとさえ思ってしまう。


これはどういう心境なの?


もしかしたら、私……葵さまのことが……。


「外に車を待たせてある。とりあえず移動するか」


「う、うん……本当にありがとう」


「もういい。ほら」


 自然と体が離れて、少し寂しいと思っていたら、葵さまが手を差し出した。


 躊躇いもなく握ったその手は……とても温かかった。





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