添い寝だけのはずでしたが
長い髪をひとつに束ね、黒いワンピースの上からは胸元にふわりとしたフリルのついた白いエプロンをつけていて、その姿はまるで童話に出てくるメイドのよう。


年齢は私よりかなり上だけど、その優しい雰囲気が服装によく合っている。


「メイド長の美沙(みさ)と申します。初めまして寧々さん、お待ちしていました。さあこちらへどうぞ」


お屋敷の中へと案内されて、その豪華な調度品に圧倒されつつ、まるで夢でも見ているかのような気分で美沙さんの後を着いて歩く。


想像していたより豪華で壮大! もう、感激しかない。


二階に上がる階段下に四畳半ほどの部屋があり、そこにが私の個室だという。


フローリング貼りのその部屋に入ると、クローゼットの側に文机と椅子の一式があるだけだった。


こじんまりしているけど、庶民の私はどちらかというとこの方が落ち着く。


「今すぐお仕事に取り掛かりますね。なにからすればいいですか?」


そう言うと、美沙さんが眉を下げて遠慮がちに笑う。


「驚かないで聞いて欲しいんだけど……寧々さんの主なお仕事は、社長のご子息である、水島葵(みずしまあおい)さまの専属メイド兼……添い寝係よ」


え……。


添い寝係ってどういうこと!?



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