添い寝だけのはずでしたが
「本気か? 友達作りのためにお前が雇われたわけじゃないだろ」


「今のままだとどう接すればいいか分からない。少しでも信頼関係を築けたらと思ったの」


きっと断られるはず、だけど聞いてみた。


「人と馴れ合うのは嫌いだ……」


「渋谷くんとは仲がいいよね」


「あいつは特別だ。お前と一緒にするなよ」


 やっぱり……難しいのかな、それでも簡単に諦めたくない。


「葵さまがふとしたときに見せる笑顔って、きっと本物だよね……。普段は無関心を装ってる気がするし、そんなに壁を作らずに、もっと私のことを受け入れて欲しいな」
 

そう言ったら、葵さまは面喰った表情をした。
 

図星なのか迷惑だったのか……結局、何も言わずに部屋に入ってしまった。
 

あまり刺激すると激高しそうだし、下手に出ればきっと更に見下される。


フレンドリーに接すると馴れ馴れしいと言われそうで、本音をつけば黙り込む。葵さまを理解するには、まだまだ時間がかかりそう。



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