添い寝だけのはずでしたが
休み時間が終わり、渋谷くんは席へ戻って行った。


そうだ、渋谷くんにテスト範囲を聞けば良かった。


葵さまに聞いたらなんだかバカにされそうな気がするんだよね……。


「渋谷くんと後で話してもいい?」
 

一応葵さまに了解をとっておこうと思っただけなのに、なんだか少しムッとしている。


「なんだよ、好きな顔か?」


「違うから。テスト範囲を聞こうと思ったの」


「あいつじゃなくて、俺に聞けよ」
 

あれ、意外。
 

でも聞いたところで恩着せがましく言われそうだし、やめておこうかな……。
 

口には出さずに笑顔でかわした。


「大丈夫。先生に聞くね」


「まあ、それが正解だな」
 

その後は、何も言わずに授業を聞いていた。
 

前の学校で習ったはずなのに、超難問ばかりで結構びびる。


ここは進学校だと思ってなかったけど、こうして授業を受けているとかなりのハイレベル。


ちょうど今、先生が黒板に書きだしている問題もかなり解くのが難しくて格闘していると、隣から視線を感じた。
 

ちらりと見れば、葵さまがこちらを見ていた。


「さっきから手が止まってる」
 
う……バレてる……。


「全然だよ。簡単過ぎてつまんなくて」


「余裕だな。ま、確かに授業はだるいな」


葵さまのノートも白紙。


授業中はよく寝ているし、勉強が苦手なのかも……。



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