左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「王都になにしにきたのよ」
「結婚の申し込みに」
「嘘よ」
「本当ですよ」
言われて、フェデリーカの鼓動が早くなる。
「どうして」
「あなたがおとなしくしそうにないから。強硬手段をとると申し上げましたよ? 一生、監視して差し上げます」
そんな理由で。
フェデリーカはうらみがましく彼を見る。
「嘘ですよ。本当は、あなたのことが好きだから」
フェデリーカは疑いの目を彼に向ける。
「信じてくださらない?」
「だって」
普通はこんなじゃじゃ馬は嫌がるものだ。
「国境の守備はきれいごとではありません。実戦を伴うことも多い。繊細な女性では私の妻は務まりません。殿下の度胸、機転、思いやり。あなたほど素晴らしい女性に出会ったことがない」
「嘘よ」
「なんでそんなに疑われるんでしょうか」
彼はにこやかに笑う。
「殿下は私をどうお思いで?」
言われて、フェデリーカはうつむく。頬が熱い。
「顔を上げて。私に美しい瞳を見せて」
エリゼオはそっとフェデリーカの顔を上向かせる。
フェデリーカの緑の目に、彼の青銀の髪が映る。蒼穹の下、いっそうの青みを帯びて輝き、風を思わせる瞳はどこまでも爽やかだ。
「男なら、私がなんと言おうと振り向かせてみなさいよ」
言われて、エリゼオはにこやかに笑った。
「覚悟してください。愛し抜きますから」
彼の顔が近付き、フェデリーカは目を閉じた。
刺繍の練習をしなくちゃ、と思った。ハンカチに、きちんとEの字を刺繍したい。使う糸は絶対に青銀だ。
風がやわらかく彼女の唇に触れた。
空は晴朗として果てしなく、風は優しく大地を流れた。
* 終 *
「結婚の申し込みに」
「嘘よ」
「本当ですよ」
言われて、フェデリーカの鼓動が早くなる。
「どうして」
「あなたがおとなしくしそうにないから。強硬手段をとると申し上げましたよ? 一生、監視して差し上げます」
そんな理由で。
フェデリーカはうらみがましく彼を見る。
「嘘ですよ。本当は、あなたのことが好きだから」
フェデリーカは疑いの目を彼に向ける。
「信じてくださらない?」
「だって」
普通はこんなじゃじゃ馬は嫌がるものだ。
「国境の守備はきれいごとではありません。実戦を伴うことも多い。繊細な女性では私の妻は務まりません。殿下の度胸、機転、思いやり。あなたほど素晴らしい女性に出会ったことがない」
「嘘よ」
「なんでそんなに疑われるんでしょうか」
彼はにこやかに笑う。
「殿下は私をどうお思いで?」
言われて、フェデリーカはうつむく。頬が熱い。
「顔を上げて。私に美しい瞳を見せて」
エリゼオはそっとフェデリーカの顔を上向かせる。
フェデリーカの緑の目に、彼の青銀の髪が映る。蒼穹の下、いっそうの青みを帯びて輝き、風を思わせる瞳はどこまでも爽やかだ。
「男なら、私がなんと言おうと振り向かせてみなさいよ」
言われて、エリゼオはにこやかに笑った。
「覚悟してください。愛し抜きますから」
彼の顔が近付き、フェデリーカは目を閉じた。
刺繍の練習をしなくちゃ、と思った。ハンカチに、きちんとEの字を刺繍したい。使う糸は絶対に青銀だ。
風がやわらかく彼女の唇に触れた。
空は晴朗として果てしなく、風は優しく大地を流れた。
* 終 *


