左遷された王女は青銀の風に守られる ~地属性魔法で悪人退治を楽しんでいたら大変なことになりました~
「許せ、と言っているわけじゃない。許さなくていい。ただ、記憶にとめておいてやってくれ。許さなくてもわかりあったり、仲良くなることもできるんだよ」」
 フェデリーカは驚いた。今まで、謝罪に対しては許すか許さないかの二択しかないと思っていた。
 父と仲良くなる……その未来をうまく想像できなくて、フェデリーカは別のことを口にした。

「勝手に結婚を決めるなんて、ひどい」
「嫌か? 今ならまだ断れるぞ」
「嫌っていうか……」
 頬を染めたフェデリーカに、ジルベルトは苦笑した。
「伯爵がお前に会いたいと言っている。会ってやれ」
 フェデリーカは黙ってうなずいた。



 彼が屋上で待っていると聞いて、フェデリーカは一人で赴いた。
 屋上に出ると、空がまぶしくて思わず目を細めた。
 彼は大きくぎざぎざのある胸壁(きょうへき)の上に立って城下を見下ろしていた。が、彼女に気が付いて飛び降り、にこやかな笑顔を見せた。

 彼のそばには二人の男がいた。
 見知った顔だったから驚いた。
 彼らは頭を下げ、その場を辞した。

「来てくれたんだね」
 エリゼオが言う。
「あの人たち……」
「あなたのせいでクビになった護衛。うちで雇ったんだ」
「なんで黙ってたの?」
「あなたに反省してもらうために」
 言われて、言葉に詰まった。
 確かに、彼に雇われたと教えられたら、安心してまた暴れたかもしれない。
 そんなフェデリーカを見て、彼はくすっと笑った。

「笑わないでよ」
「笑ってませんよ」
 エリゼオは笑顔で答える。
「あなたにまた会えてよかった」
 言われて、フェデリーカは視線を彷徨わせた。
 彼はどういうつもりで言っているのだろう。
 会いに来いと思っていたのに、いざ会うとどうしたらいいのかわからない。

「社交辞令はいいわ」
「本音ですよ」
 笑いを含んだ声に、フェデリーカはむっとした。
 自分だけが悩んでいるようで、バカバカしくなってくる。
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