呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
14 妨害と脅し
「すぐにお取替えしますね」

 落ちたフォークを拾い上げ、優しく微笑んだのはドルトルージェの侍女だった。
 
「結構ですわ。シルヴィエ様が召し上がるものは、こちらで準備しております。そのような田舎料理を口になさる方ではございません!」

 とても美味しそうなケーキと香りの良いお茶が、私の前から遠ざけられる。

「早くお部屋へ戻りましょう。日に焼けてしまいますわ」

 帝国の侍女たちは、私を怖い顔でにらんだ。
 彼女たちの手に、私を殺すための毒薬がある。
 いつでも私を自害に見せかけて、殺せるぞという脅し。
 
 ――私を殺すための猛毒をお父様はどこからか入手し、そして、それを私に使うことを決断したのですね。

 好かれていないとは思っていたけれど、死を望まれるのはやっぱり堪える。
 でも、死にたくはない。

「わかりました……。お茶会を途中で退席してしまい、申し訳ありません。お誘いしていただき、本当に嬉しかったです」

 アレシュ様と話すのも忘れ、私は心からお茶会を楽しんでしまった。
 
 ――私はなんて愚かだったのでしょう。

 冷静になってみれば、お茶会よりアレシュ様に、二人で話すよう交渉するべきだったのに。
 手袋越しでもわかる温かい手と笑顔。
 華やかなお茶会のテーブル、細やかな気遣い。
 私にとって、幸せと思えることばかりだった。
 椅子から立ち上がり、国王陛下ご一家にお辞儀をし、侍女たちのほうへ向かう。

「シルヴィエ皇女」

 背中を向けた私に、アレシュ様が声をかけた。

「戻られる前に、花を贈らせてください」

 振り返り、私が目にしたのは薔薇の花。
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