呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
18 皇女の秘密 ※アレシュ視点
結婚式は帝国式と言われたが、誓いの言葉さえ、禁じられ、妻となるシルヴィエのヴェールに触れることさえ、許されなかった。
「今まで、帝国側の要求をのんできましたが、向こうに結婚を祝う気持ちはまったくありませんでしたね。シルヴィエ皇女が、お気の毒でした」
「そうだな。だが、この結婚に裏があると思えば、それも納得できる話だ」
結婚式だけでなく、お茶会の時もそうだ。
毎回、彼女は会うたび、なにか言いたそうにしていたような気がする。
「むしろ、裏しかありませんよ」
カミルも気づいているらしく、俺の護衛を通常より増やしていた。
剣術も優れているが、観察眼もなかなかのものだ。
「参列者にラドヴァン皇子がいましたが、にこりともしてませんでした。あの顔でお祝いしてるっていうんなら、感情のない人間だとしか思えません」
「ラドヴァンか」
黒髪に青い目をした男で、月夜の泉のような美しさを持つと、誰かが評していた気がする。
同じ年齢だが、帝国から敵国として扱われている我が国とは、あまり交流はない。
この結婚が、ただの友好の証として、決まったわけでではない。
なにかあると思っていたが、それがなんなのかわからなかった。
ただ――
「噂とは違って病弱ではない。そして、皇宮に閉じ込められていた理由は? 手袋とヴェール、肌の露出が少ないドレスに違和感がある」
温暖な気候であるドルトルージェ王国では、皮膚をすべて隠すようなドレスは必要はない。
帝国の皇宮で、閉じ込められていた理由と関係しているような気がした。
「そうですね。今まで、風の神の力を悪用し、レグヴラーナ帝国の皇宮を覗いていただけあります」
「声が聞こえないから、少々不便だったな」