呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 俺に敵うわけがない。
 ただ、暗殺する方法があるとするなら、ひとつだけある。

 ――毒殺だ。 

 だが、それにしても距離を置く意味がわからない。
 毒を盛るなら、近くにいて機会を狙うほうが確実だ。
 そばにいるどころか、俺に触れられないようにしている。
 うーんと唸っていると、弟のシュテファンが駆け寄ってきた。
 シュテファンは今年十歳。
 金髪に緑の瞳をし、父と俺に似ている。

「兄上。お呼びですか?」
「ああ。シュテファン。これから、俺はシルヴィエを帝国側から、連れ出すつもりだ。なにかあったら、お前の力を借りる」
「はい。なるべく、そばにいます」

 シュテファンは聡明だ。
 大騒ぎすることなく、微笑むと、招待客の中に紛れた。
 子供ということもあって、シュテファンがうろうろしていても、相手に警戒されにくい。
 
「カミルは帝国の兵士たちの動きを封じてくれ」
「お任せを。すでに騎士団の精鋭を配置済みです」

 侍女たちに囲まれたシルヴィエが、広間に現れる。
 結婚式も終わり、妻になったのに話も満足にできない。

 ――だから、決めた。

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