呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 結婚式が終わったら、帝国側から、こちら側に連れ去ろうと。
 広間を見渡せる席に座る。
 隣がシルヴィエの席になる。
 この距離なら、侍女たちに囲まれていても、うまく連れ出せるはず。
 そのタイミングでと思っていると――

「隠し芸? それとも手品? でも、鳩を仕込んでくるのを忘れてしまいましたわ」

 彼女はなぜかパーティーを盛り上げようとしている。
 敵国同士の険悪な空気をどうにかしようとしてのことだろう。

「では、鷹なら?」

 近い距離、彼女は振り返り、俺を見る。
 それだけなのに嬉しく思う。

「ヴァルトル、行け」

 白い花を手渡した日を彼女は覚えているだろうか。

「花をどうぞ」
「ありがとうございます」

 花ひとつで、彼女は微笑む。
 大切に花を両手で包み込む仕草が、可愛らしく、その様子を眺めた。

「私からアレシュ様に、花のお礼をいたします」
「俺に?」

 そう言って、彼女は澄んだ声で歌う。
 その歌声に魅せられたのは、俺だけではなく、帝国の悪口を言っていた者たちも全員、虜にしてしまった。

「シルヴィエ。手を」

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