呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「な、なによっ! 私がお姉様より、馬鹿だって言いたいの?」

 ロザリエの青い瞳から、ぽろぽろ涙がこぼれた。

「違う。本を読まないだろうと言っただけだ」
「ひどい。お姉様には直接、自分の手で本を渡すくせに、私には側近から渡すだけ……。おしゃべりだって、時々しかしてくれない……」

 泣いたロザリエに驚き、慌ててハンカチを差し出した。
 刺繍されたハンカチを見て、ロザリエは地面に投げ捨てた。

「お姉様なんか嫌い。大嫌いよ! 呪われて、みんなから避けられているくせに、お兄様を独り占めして!」
「独り占め? お兄様を?」

 なにを言っているかわからなかった。
 ロザリエは手に持っていた本を破ろうとした。
 それに気づき、手を伸ばして止めようとした瞬間――ロザリエの長く伸びた爪が、私の腕に食い込む。

「……っ!」

 痛みで顔をしかめた私を見て、お兄様が慌てた。

「ロザリエ。なにをしているんだ。やめろ!」

 お兄様が間に入り、私とロザリエを引き離そうとする。

「シルヴィエ。手に怪我はないだろうな?」
「ええ……。平気です。赤くなっただけですから……」

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