呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 昨日と違うのは、明るい場所だったのと、ヴェールがなかったから、しっかり見えた。
 私と世界を隔てていたものが、いつの間にか、なくなっていることに気づく。
 ヴェールと手袋がなくなり、またアレシュ様を傷つけるのではと不安になって、距離を置く。
 その私の様子にアレシュ様は苦笑した。

「もしかして、俺が怖いか?」
「いいえ。また傷つけてしまうのではないかと思って、気を付けています」
「ああ、そういうことか。シルヴィエが俺を怖くないと思っているなら、大丈夫だ」
「怖くはないです」

 アレシュ様は人懐っこい笑みを浮かべ、安心したように息を吐く。

「昨日は驚かせて悪かった」
「いいえ。それより、アレシュ様。呪いを受けて、なぜ平気でいられるのですか? それに私を連れに、帝国の侍女が来ないのですが……」
「帝国の人間は、全員帰った」

 ――私を置いて逃げたのだ。

 アレシュ様は帰ったと言ってくれたけど、本当は違う。
 暗殺計画の失敗を悟り、全員が私を捨てて逃げた。

「そうですか……」
「よほど慌てていたのか、荷物も持たず、着の身着のまま帰っていった」

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