呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
22 遠のく皇帝の座 ※ラドヴァン視点
馬車は暗い夜道を走り続け、帝国領を目指す。
 ドルトルージェ王国は、王子の暗殺計画に気づき、追手を放ったはずだ。
追手を気にしながら、逃げ続け、馬は限界で、違う馬を買って用意し、また走らせる。
 皇都へ着いた頃には、全員が疲弊していた。
 協力者をドルトルージェ王国に置き去りにし、シルヴィエの身も奪われ、幽閉された。
 大きな失策である。
 
「くそ! アレシュめ!」

 アレシュと同じ年齢ということもあり、昔から、あいつとはよく比べられた。
 優秀な隣国の王子など邪魔なだけだ。
 アレシュはその優秀さを見せつけるように、両国の友好のためだと言って、シルヴィエを妻に指名した。
 だが、なぜロザリエではなくシルヴィエだったのだ!
 銀髪に青い目、帝国の美しい第一皇女。
 呪われてさえいなければ、きっと誰もが彼女を愛しただろう。

 ――シルヴィエだけは奪われたくなかった。

 皇宮に入ったなり、そう思ったのは、シルヴィエがいなくなった皇宮に、安らげる唯一の場所がなくなったと感じたからだった。

「ラドヴァン皇子。ご無事でなによりです」
「よくお戻りになられましたな」

 皇宮に入るなり、大臣たちが現れ、ねぎらいの言葉をかけるが、それは形だけである。
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