呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 笑みのない大臣たちの態度で、父上の怒りがどれほどのものなのかわかる。

「皇帝陛下がお待ちです」
「ああ……」

 まだ朝の早い時間だというのに、父上と皇妃、ロザリエが待っていた。

「アレシュ王子だけでなく、シルヴィエも始末できなかったらしいな」

 父上の一言目がそれだった。

「申し訳ありません」
「シルヴィエお姉様はドルトルージェ王国に置き去りにされたんでしょ? 可哀想~。私だったら、絶対、お兄様を恨むわ」

 ロザリエの一件でも罪を押し付け、今回は自分だけ逃げ、一度もシルヴィエを助けず、保身に走った。
 恨んでいないほうがおかしい。

「お姉様が呪われてるって、敵国に知られたら、お父様の地位が危なくなるのではなくて?」
 
 ロザリエの言葉に、ハッと顔を上げた。
 皇帝の血を引く娘が、神に呪われた娘だと知られたら、国民は皇帝の血を引く人間に対し、疑念を抱く。

「父上。なんとしてでも、シルヴィエを帝国に連れ戻します!」
「お姉様を置き去りにしたお兄様が言っても説得力がないわ」

 こちらが不在の間に、ロザリエの影響力は増していた。
< 167 / 263 >

この作品をシェア

pagetop