呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 父上と皇妃、ロザリエ、沈黙する大臣たちに囲まれ、俺が思い出していたのは、シルヴィエの笑顔だった。
 幽閉され、粗末な暮らしをしていても、文句ひとつ言わない。
 シルヴィエが皇宮の片隅にいるだけでよかった。

 ――だが、もういない。

 父上が決めたシルヴィエの結婚。
 確かに失敗したのは俺だが、 父上が暗殺と結婚を決めたのではなかったか。

「ラドヴァン。お前が皇帝に相応しいとは思えなくなった」

 なんらかの処罰は覚悟していたが、告げられたのは、考えていた以上に、最悪なものだった。

「ロザリエを皇位継承者とする!」
「父上、お待ちください!」
「今後、父と呼ぶことを禁じる」

 皇妃が笑みを浮かべたのがわかった。
 俺の視線に気づいた妃が、慌てて扇子で口元を隠した。
 母親の違う俺を疎ましく思っていたことは知っている。
 俺の失敗を一番喜ぶのも妃だ。

「どうして私だけ、こんな……お姉様は結婚したのに……私には誰も……」

 ブツブツとロザリエは、恨み言を繰り返す。
  
「ロザリエ。ドレスを着替えて休みましょう」

 妃は涙をぬぐう真似をした。
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