呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 だが、ロザリエに皇帝の座を奪われるわけにはいかない。
 なにもわからぬ皇位継承者は、貴族たちから激しい反発を受け、皇帝一族の立場が悪くなるのは必至。
 俺に期待していたのは、父上ではなく、貴族たちだった。

 ――そして、亡くなった母上。  

 俺が皇帝になるのを楽しみにしていた亡き母。
 父上の寵愛を失い、息子の俺だけが希望だった。
 
「ハヴェル。いるか」

 庭の手入れをしていた男、ハヴェルを呼ぶ。
 庭師のハヴェルは、名の知れた庭師である。
 年齢は父上より少し下、髭をはやし、図体も大きく、熊のような男だ。

「ラドヴァン様。お戻りになられていたのですね」
「ああ。お前に頼みがある」

 庭師なら、どこの王宮にいても怪しまれない。
 そして、庭の手入れをするなら、出入りは自由だ。

「ドルトルージェ王国へ行き、シルヴィエがどうしているか探れ。そして、俺に報告しろ」
「スパイをしろということですか……」

 困惑していたが、俺はハヴェルをきつくにらんだ。

「命令だ」
「わかりました。他でもないラドヴァン様のお願いです。喜んで、ドルトルージェ王国へ向かいましょう」

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