呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「毒の神が加護を与えなければ、普通の皇女として暮らせたはずだからな」
「加護がなければ、今ごろ、私は死んでいたでしょう。私が帝国を滅ぼすと予言者に告げられてしまったら、赤ん坊の私は抵抗もできません」

 もちろん、捨てるという選択もあったそうだ。
 けれど、これが毒の神の加護とは気づかず、私の呪いと判断した。
 赤ん坊を捨て、誰かに拾われ、帝国を呪って滅ぼすのではというパターンをお父様は考えたらしい。
 それで、皇宮で監視されて育てられた。

「アレシュ様。人は生まれる場所も条件も選べません。一番の呪いは、自分は絶対に幸せになれないと思い込む呪いです」

 アレシュ様は髪に触れたまま、私を見つめる。

「自分自身を不幸にするのは、毒の神でありません。幸せを目指さず、不幸なまま、なにもかも諦めてしまうことです」
「そうだな。そうかもしれない」

 髪に口づけ、アレシュ様は笑う。

「なら、俺は幸せにすると誓おう。シルヴィエが幸せだと思えるように」

 私はここで、幸せになれる。
 いいえ、すでに幸せだと思っている。
 そう伝えようとした時、庭がざわついた。

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