呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 教えてくれたのは、アレシュ様だとわかった。
 ヴァルトルの瞳を通じ、こちらを見る『目』の能力を使い、こちらを見守っている。
 選んでもらった薬を村人たちに渡し、苦しむ子供たちに飲ませていく。
 顔色がよくなり、呼吸も正常に戻った。

「水の廟に戻ったら、治癒師と薬草師の方をお呼びするようお願いして、治療にあたってもらいますね」

 小さな村に治癒師と薬草師は、時々立ち寄るくらいで、大きな町に行かなくては診てもらえない。
 しばらく様子を見てもらった方が安心だと思った。

「シルヴィエ様。ありがとうございます」
「毒の神に感謝を」

 この国では、毒の神でさえ、信仰の対象で敬われる。
 私の嫌悪され続けてきた力が、初めて人の役に立ち、感謝された瞬間だった。
 
「シルヴィエ様……?」

 それが嬉しくて、涙がこぼれた。
 この国で、私が孤独(ひとり)になることはない――自分のやるべきことが、はっきりとわかった気がした。

「私のほうこそ、ありがとうございます」

 村人たちへお礼を言った瞬間、村人の一人が、私のすぐそばのテーブルを指さし、声を上げた。

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