呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「もちろんよ。ねえ、お兄様」

 ロザリエはゾッとするような悪い顔で微笑んだ。
 その笑みを見た時、その先の言葉を聞いてはいけないような気がした。
 だが、ロザリエは俺を逃がしはしなかった。

「お兄様はご自分が、お父様から愛されない理由をご存じ?」
「愛されない理由?」
「ロザリエ。秘密だと言ったでしょう?」
「でも、お母様。教えてあげないと、お兄様は皇帝になろうとするかもしれないわ。お父様の子供でもないくせに」

 ――父上の子ではない?

 風が強くなり、ざわざわと木が揺れた。
 雨が降るのか、風は湿気を含み、肌にまとわりつくような空気が、気分を不快にさせる。
 ドレスの裾がはためき、ロザリエの父によく似た金髪が、目の前になびいていた。

「それは、皇妃の嘘だ。俺の母上が死んで、なにも話せないからといって、嘘を本当のように言われるのは困る」
「本当に愛し合っていたのは私だけ。 身に覚えのない子を授かった陛下は、誰に対しても疑い深くなってしまわれたのよ。なんてお可哀想な陛下!」

 足元で木の影が揺れている。
 俺が父上の子でないのなら、あの冷たい態度にも納得がいく。
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