呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
28 兄と妹の訪問
 ドルトルージェ王宮に着いた時は、激しい雨が降っていた。
 激しい雨が降ることが多いドルトルージェでは、家のそばに大きな葉の木を植える人が多い。
 その理由がわかった気がした。
 雨や日差しを遮るのに便利で、葉の下では、テーブルと椅子を置き、お茶や食事を楽しむ人をよく見かけた。
 今日は、雨宿りをしつつ、戻った私たちを迎えてくれる。

「シルヴィエのおかげで、どこへいっても歓迎されてよかった」
「アレシュ様が人気なんですよ」
「いや、半分以上はシルヴィエを見ていたと思うぞ。俺の顔なんか国民は見飽きているからな」
「見飽きるなんてことありません!」 

全力で否定すると、アレシュ様は笑った。

「なら、ずっと――」
「はいはい、そこまでにしてくださいね~。いちゃいちゃするのはいいんですが、みなさんが待ってますからね~」

 カミルは容赦なく、バンッと馬車のドアを開ける。
 王都へ戻るのに、ひとつ前の町で紋章入りの馬車に乗り換えた。
 馬車があまりお好きでないアレシュ様だったけれど、馬に乗っていると、どこへ行くかわからないと、護衛から言われたためだった。
 気安く民に声をかけたり、店で買い食いしたりと、自由に振舞い過ぎて、目が届かない。
 今回は、私の護衛もあって、カミルは馬車にアレシュ様を押し込んだ。
 王宮まで、なんの問題もなく到着し、降りた先には、私たちの帰還を出迎える大勢の人が並んでいた。

「おかえりなさいませ」

 ずらりと並んだのは大臣と使用人たち――そして、医療院の方々。
 その方々は、私を見るなり、深々と頭を下げた。

「シルヴィエ様。お帰りをお待ちしておりました」
「数百年ぶりとなる毒の神の帰還、王立医療院一同、大変嬉しく思います」

 同じ制服を全員身に付け、蛇の紋章が入っている。

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