呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 お兄様は民の生活に目を向けた本をよく読まれていた。
 私に貸してくれた本は、そんな本が多かった。
 お兄様が得た知識は、暗殺計画のために使われるものではなかったのに……

「領土を豊かにしたい帝国の貴族たちも同じ気持ちだろう。事実、ロザリエ皇女の即位を反対しているらしい」
「皇帝陛下が命じても、貴族たちがロザリエ皇女の結婚相手として、名乗りをあげないのは、無言の訴えなのよね……。気づいていないようだけど」

 王妃様は頬に手をあて、ため息をついた。
 お父様も貴族たちの反対を押しきって、ロザリエを即位させるのは難しいと知った。
 でも、お父様はなにかたくらんでいるはず。
 意味もなく、ロザリエを敵国へ寄越すとは思えない。
 
「アレシュ、どうする? お前が帰ってきてから、向こうへ返事をしようと思っていたが」

 お兄様は前回の失敗により、皇位継承者から外された。
 もう一度、その地位に戻るには、なにか功績が必要だった。
 お父様はお兄様に提案しただろう。

 ――アレシュ様を殺してこいと。

「向こうが来たいというのであれば、来ればいい。父上、受けてください」

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