呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
29 妹からの手紙
――お兄様とロザリエがやってくるからといって、身構えたりするなんて失礼ですよね。
もしかしたら、私と仲良くするために計画されたものかもしれませんし……
そう思って、なるべく前向きに考えようとしていた。
「シルヴィエ様。薬草の本を借りて参りました」
「ありがとう」
「勉強ばかりでは、大変でしょう?」
「いいえ。元々、興味があった分野ですから、楽しく学ばせてもらってます」
秋からは、医療院に付属している学院へ通うことになっていた。
本格的に勉強し、薬草師を目指す。
そして、最終的にはレネの毒に勝てるような解毒薬を調合してみせる!
ちらっとレネを見た。
レネは私の最強の味方にして、最大のライバルなのである。
「私にお友達ができるといいのですけど」
「シルヴィエ様なら、きっと人気者になりますよ!」
「そうですか? 感動の胴上げとか、肩を組んでの語り合いとか、そんな青春が私にも送れますか!?」
「えっ!? う、うーん。シルヴィエ様は熱い青春をお望みなんですね」
侍女の反応を見る限りでは、ちょっと難しそうだった。
しょんぼりしながら、本を開く。
出遅れているから、少しでも知識を身に付けておこうと、毎日、薬草学の勉強をしていた。
そして、王宮の薬草師たちから調合を学んでいる。
忙しい薬草師たちから、じかに教えてもらえるのは、申し訳ない気がしていたけれど、薬草師たちは毒の神の化身であるレネを一目見ようと、先を争って訪れていた。
「この間なんて、医療院の院長が、風の宮に来ていましたからね……」
レネは用意されたお茶を飲み、ご機嫌の様子。
日差しのあまり強くない場所で、こっそり昼寝をするくらいには、人に慣れてきた。