呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 なんのための妻なのかと、言われてもおかしくない。
 ようやく信頼してもらえた矢先に、帝国は国境に兵を置いた。
 
「心配しなくていい。シルヴィエはもうドルトルージェの人間だ」
「はい……」

 この手紙は形だけのもの。
 私を油断させるための道具として、手紙をつかったのだ。
 それでも、私は心の隅では、まだ期待している自分がいる。

「便箋と封筒を持ってきてくれ」

 アレシュ様が侍女に頼んだのは、手紙を書く道具だった。

「アレシュ様? お仕事が終わったのでは、ありませんか?」
「シルヴィエに手紙を送る。受け取ってくれるか?」
「もちろん大歓迎です! では、私もアレシュ様にお返事を書きますね!」

 アレシュ様は侍女から、便箋を受け取る。
 しばし待つこと、小一時間……
 私が刺繍を終えても、手紙はまだ書き終わらないようで、悪戦苦闘していた。
 それを眺めていた侍女たちが、くすくすと笑った。

「アレシュ様は手紙が苦手なんですよ」
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