呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
「お兄様。私を裏切ったこと、後悔するわよ」

 侍女たちはロザリエを連れ、去っていく。
 お兄様がロザリエを追うことはなく、黙って見送る。
 気づけば、帝国の侍女も兵士も数を減らし、いなくなっていた。
 
「きっとこれは、俺がシルヴィエを置き去りにした罰だ」

 自嘲気味にお兄様は言ったけれど、お兄様を慕う兵士と侍女は残っている。
 帝国内の混乱が、ここでも見てとれた。
 でも、お兄様はもう――

「ドルトルージェ国王陛下。俺を慕い、ここに残った兵士と侍女ですが、時機を見て、帝国へ帰していただけないでしょうか?」
「それは構わないが……」

 帝国内の不穏な空気をドルトルージェの人間たちも悟った。

「お兄様。待ってください。なにがあったのですか?」

 絶対に皇帝にならなければという必死さと、帝国の第一皇子であるというプライドが、お兄様から消えていた。
 これがお別れであるかのように感じ、私はお兄様の手をとった。

「シルヴィエ……」

 お兄様の青い瞳が動き、一瞬だけ私ではない人に目が行っている。
 視線の先にいたのは、庭師のハヴェルで、ハヴェルもまたお兄様を見ていた。
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