呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 ハヴェルの髪の色は黒、瞳は青色で、お兄様と同じ。
 顔が見えないくらい髭をはやし、熊みたいなハヴェルのスタイルは、自分を隠すためだったとしたら?
 
 ――まさか、そんな。

 お兄様は私のわずかな動揺に気づいたらしく、苦笑した。
 お前もわかっただろうという顔。

「罠だとわかっていても逃げずにここへ来たのは、シルヴィエに会いたかったからだ」

 告げられたのは、お兄様からの別れの挨拶だった。
 はっきりと別れを言ったわけではなかったけれど、このまま、どこかに身を隠すつもりであることはわかった。

「そんな最後のお別れみたいに、おっしゃらないでください。お兄様は本当にこれで、よろしいと思っているのですか?」

 レグヴラーナ帝国はロザリエが即位すれば、間違いなく滅びる。
 それをお兄様だって、わかっているはず。
 握る手をきつく握りしめた。

「皇帝になるのは、お兄様しかいないのです。今のお兄様なら、きっと民を思う皇帝になられるはず」

 今まで、お兄様が皇帝になるため、努力してきたことは知っている。
 難しい本をたくさん読み、そつなく外交をこなし、貴族たちとの社交も怠らない。
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