呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
 お父様は黙り込んだ。
 自分が思っていた流れとまったく違っていたのだろう。
 
「ラドヴァン」
「はい」

 お兄様を呼ぶ。
 美しい青の瞳が私を見ていた。
 事実を知っているのは、侍女たちだけでなく、お兄様も同じ。

 ――お兄様がいらっしゃるのなら安心です。事実をご存知なのですから。

 そう思ったのは、一瞬だけだった。

「シルヴィエが妹に嫉妬し、俺から剣を奪い、自らを傷つけました」
「お兄様……?」
「その時、飛び散った血により、ロザリエは倒れ、呪われたのです」

 呆然とし、言葉を失った私に、お兄様は目を合わせない。
 嘘だとわかる態度であったにも関わらず、誰もそれが嘘だと言わなかった。 

「シルヴィエ。素直に罪を認めろ。そうすれば、俺から父上に罪を軽くしてもらえるようお願いする」

 家族の中で一番優しかったお兄様は、もういない。
 味方が誰もない状況の中、私の耳に車椅子の車輪の音が聞こえてきた。
 その音を耳にしたお兄様が、慌てて階段を降りていく。

「ロザリエ! まだ動いてはいけない!」

 車椅子に乗ったロザリエが現れ、お兄様はすぐに駆け寄った。
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