呪われた皇女の結婚~敵国に嫁がせていただきありがとうございます!~
6 帝国の花(1) ※アレシュ視点
 ――なんて美しいのだろう。
 それは一瞬の出来事だった。
 風が吹き、さらさらとした銀髪がなびき、空を見上げた瞳は、深い青。
 空を映しているからか、瞳の青さが、なおさら濃く見えたのかもしれない。

「……シュ様、アレシュ様!」
「うん? ああ、悪い。今、『目』を飛ばしていた」
「また風の神の力を悪用してたんですか?」
「悪用? 違う。敵国の偵察だ」

 風の神の加護を受ける俺は、風の神の化身である鷹の両眼を借りることができる。
 上空から見えるものなら、なんでも覗けてしまうというわけだ。

「ヴァルトル、戻れ」

 空から戻った鷹――ヴァルトルが大きな翼を広げ、鋭い爪を伸ばし、革の手甲(てっこう)をつけた腕に止まる。
 本来、風の神の化身に名はない。   
 名がないと不便だったため、名前を与えて呼んでいる。

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